ソラのカケラ

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日記と共に自作小説を載せています♪たまに読んだ本の紹介もしています。イラストとかも載せていくつもりです。怖い話募集中

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?天使の休息?

  • 2009.09
  • 20

Edit177

 最近になってやっと慣れてきたが、『管理者』見習いになったばかりの頃はこの体にずっと違和感を感じていた。時の流れから切り離されていると説明を受けはしたもののぼんやりとしか理解していなかったがすぐに実感することになった。生命維持活動の必要が無かったのだ。詳しく言うといくら動いても空腹にはならず、どんなに長時間活動しようとも全く眠くならなかったのだ。
 自分の感覚でつい二週間ほど前までは普通の人間として生活していた私にとって、それは違和感以外の何物でもなかった。空腹になってはいないのにもかかわらず、無性に何かを食べたくなったりもしたし、ずっと動き続けていると眠気は無いのに横になりたくなったりした。
 それも身体と精神が順応してきたおかげで回数も頻度も減った。
 そしてこれが私が人間でなくなり、『管理者』として生きるという実感そのものでもあった。
 ただ、同時にそれは確かに『生きて』いるのだから人間として生きていたころ接していた皆ともう一度会いたいという思いを生む原因でもあった。

 目の前で曾孫がいてもおかしくなさそうなお爺さんが光の粒子になって霧散した。そのあとには八面体の結晶だけが残った。
 その結晶を持っているのは黒い布を纏った銀髪の少年。現在、私の師匠のような存在である『調律者』のルイだ。唯一見える左の瞳には感情が希薄にしか感じられない。しかし、死んだ人を浄化するときには涙を見せる。今も例外ではなく、薄く水滴の伝った跡が頬を走っている。ただ、本人は涙を見せるほど悲しいと感じているわけでは無いらしい。
 その死んだ人を浄化する力は私も持っているという。しかし、今回で四人目なのだが未だにやり方が分からない。そして浄化される人を見てもテレビの画面を通して見ているような少し現実味の薄れた感覚しかない。
 それらの要因から今、苦しんでいることがある。それは、『退屈』である。時間の流れから切り離されているということは実際には無限とまではいかないがそれに近いほど時間があるのだ。そしてやることは死んだ人を浄化し、世界の均衡を保つこと。ただそれだけ。
 他の人間ならこうはならないのかもしれない。ただ、今の死んだ人を導くという仕事に達成感も充実感も感じない今。さらに、少し前までは普通に小学校に通っていた人間として今の状況は非常に辛いのである。すでにこの『退屈』は病気の域だ。


    §    §    §


 ルイが辺りを見回すとミウがいなくなっていた。
 ミウを見習いとして引き連れるようになってから四回目の仕事だがミウにはまだできそうにない。リンと同じ『管理者』であるはずなのだが、その役目がそれに必要な力さえ自分の物にできていないのだ。
 ルイがした誰にも聞こえない舌うちはルイ自身にも聞こえていなかった。


    §    §    §


 人に姿が見えないのを良いことに夜中の町中を我が物面で歩いていた。ふと、見上げると窓からチロチロと動く火を思わせる明かりが見えた。火事だったら危険だからと言い訳を用意してから興味本位で覗きに行くことにすると目を閉じ、イメージした。背中に羽が生えているイメージ。天使のような白い翼。
 目を開けるとベストはすでに翼となって背中に付いていた。
 悪巧みをする子どものようにニヤリと笑うと窓めがけて飛びあがり、実体が無いのをいいことに壁をすり抜けて入り込んだ。
 締め切った障子の奥には小学校の高学年程度の子どもたちが蝋燭を囲んで座っていた。雰囲気からしてどうやら、百物語のようなものをしているらしかった。娯楽の無い時間を送っていたのでこういうことがとても面白そうに感じる。誘惑に負けてそそくさと輪の中に入っていった。
 お坊さんの話。黒い布に骸骨のような顔。すぐにピンときた。二人目の人だ。いきなり大昔に連れていかれて動揺していたのを覚えている。それにルイは私の最初の仕事から浄化の時にはいつも白い仮面を付けている。あののっぺりとした顔が骸骨に見えたのだろう。
 そして話が終わり、語り部をしていた男の子が蝋燭を吹き消そうと身をかがめた瞬間、どこからともなく冷たい風が吹き込んで蝋燭を搔き消した。
 静寂が訪れ、誰かが息をのむ音が聞こえた。障子に先ほどの話に出てきたような影が映っているのだ。
 影が障子に近づき、障子を叩くような音が響いた瞬間、子どもたちが縮こまった。
(あちゃー。もう見つかっちゃったよ)
 障子をすり抜けて部屋に入ってきたルイは仮面を着けて大鎌を構えている。西洋の死神そっくりだ。ルイが滑るように近づいてきて鎌をミウの襟に引っ掛けたその時になって初めて自分に実体があることに気付く。急いで実体を無くすのと壁をすり抜けるのはほぼ同時だった。
(あ……危なかった。死ぬとこだったよ、今のは)
 ミウを大鎌に引っ掛けたまま?ハザマ?に通じる切込みに入った。

 ミウが開放されたのはルイの部屋についてからだった。
 部屋に入るとミウを放し、仮面を取った。
「えーと……ルイさん。もしかして、怒ってる?」
 そう聞かれて初めて今さっき苛立ちを感じていたことに気付いた。
 感情を失っていたルイがささやかな苛立ちを感じたという小さなことはルイにとっては大きな変化であった。
「今回は別にいい。次、またやるようだったら最初から別行動をすることにする」
 ルイが今までのようにほとんど感情を見られない調子で言うとミウが「ごめんなさい」と頭を下げて部屋から出て行った。
 一人きりの殺風景な部屋がいつもより少しだけ寒いような気がした。



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Author:イフト ソラ
▽呼び方:ソラとお呼びください
▽年齢:18 (大学1年生)
▽誕生日:1月16日
▽所属:心理学科
▽夢:小説家
▽趣味:読書(お気に入りのジャンルは異世界モノや近未来モノ等のファンタジー。ハードカバーもライトノベルも読みます。)
▽最近のお気に入り
・ムシウタ(角川スニーカー文庫)
心霊探偵八雲(文芸社)
・しにがみのバラッド。(電撃文庫)
▽好きな食べ物・飲み物:甘いもの全般(特にチョコレート、クッキー)・牛乳、ココア、ミルクティー、炭酸飲料
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